わかる喜びを伝えたい
エール宮⽥
41年間、小学校の教師をしていました。定年退職後の4年間は、子どもと先生のサポーターでした。たくさんの子どもの宿題を短時間で見る仕事を頼まれます。
初めて入るクラスで、計算問題や漢字プリントを見るとき、自分が問題を解いて答えを作り、それを見ながら丸付けをする方法もあるのですが、私は、次のようにしました。
最初に、2人の特徴ある子どものプリントを見比べてから、それを答えプリントにして、丸付けをするのです。
どんな特徴でしょう?
それは、文字や数字を丁寧に書く子どもです。この方法は、辞める時まで間違いなく効果的でした。
自分が担任しているときもこの方法で丸付けをしていたのですが、やはり、有効な方法でした。
これには、訳があると思います。課題に向かって集中して丁寧にやらなければ、正しい文字や数字は書けません。気持ちがいい加減では、どうしても文字や数字が雑になってしまいます。その分、間違いが多くなるというわけです。まずは、その子どもの気持ちが、文字や数字に表れるのです。「丁寧に書こう」「集中してやろう」という気持ちが、いい結果に表れるのだと思います。
次に、丁寧に文字や数字を書く子どもは、特に漢字がそうなのですが、止めやはね、払いといった漢字に必要な点をしっかり押さえて書いています。文字が雑な子どもは、その逆です。
漢字学習帳を見てもらうとわかるのですが、手本の漢字には十字になった点線が書かれています。この4つのマスのどこから書き始め、どこのマスを使い、文字を書くのかということがとても大切なポイントになってきます。これは、子どもたちの空間認識力にも関係していると思うのですが、意識して文字を書く・どのようなマスを使うかを認識していること、その点が大事なポイントの2つ目です。
そして、文字や数字を丁寧に書く子どもは、ほかの面でも丁寧なことがわかってきました。教科書やノートを丁寧に扱う。プリントをきちんと折って連絡袋に入れる、体育の服や給食エプロンをたたんで袋に入れる等、生活の面でも丁寧に向き合えていました。また、友達との関わり方も柔らかく、こちらから見ていても安心感のある子どもが多かったです。
そんな子どもに「あなた、よくお家のお手伝いをしているでしょう?」と聞くと、「何でわかるの?」と返されることが多かったです。「お手伝いと学習との関係」は、次回書くことにします。
~ ちょっと⼀⾔ ~
正しい文字をゆっくり丁寧になぞる。はみ出さないように、丁寧にぬり絵をする等も有効です。たくさんでなくていいのです。丁寧に書いた、丁寧にぬったことをほめて下さい。