新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による生活の急変
ー子どもたちにどんなことが進行しているのかー その4
■自由記述(国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート」より)
・だんだんマスクや検温や消毒しないとならない場所が増えてきて楽しくない。どこへも行く気をなくす。(男児/小5/北海道)
・コロナになったらいじめられないかな(女児/小5/福岡)
・コロナになって悪口や差別されている人がいる(男児/小5/宮城)
・学校でコロナをテーマにポスターを作ろうとか、今年1年の思い出を聞かれて「やっぱりコロナだね!」って叫ぶヤツ、どんだけコロナのことばっか考えてるんだよって思う。もっと大事なことあるだろ、コロナコロナうるさい。(男児/小6/北海道)
・コロナのせいで休み時間まで勉強しなければいけない(男児/小2/愛知)
・びょうきじゃないときに、しょくよくがないときがある。きもちわるくなったり、よなかにめがさめたりする。(女児/小1/千葉)
(他多数あり)
子どもたちのことをもっと知りたいと考え、2つの調査と分析に学んだ。まだ読み込みが浅く、理解、分析も足りない。今後も調査に学び、子どものことを理解し、どんな取り組みが必要なのかを考えていく。
出典
国立成育医療研究センター|コロナ×こどもアンケート第4回調査 報告書
桐明小学校HP|日本の子どもを考えて、目の前の子を理解したい [Ⅱ-259]
(4)今後の課題として
今回、触れることができなかったが、調査には保護者の声がたくさん出ていた。
保護者から見た子どもの心、身体、生活や、保護者自身のこころの状態、悩み、自由記述など。コロナ禍で、解雇・雇止め、自発的離職、労働時間半減が30日以上あるいは休業が7日以上など、雇用の変化があった女性は4人に一人という調査結果も出た。非正規雇用、低所得者層、立場の弱い人にしわ寄せがいっている。学校の一斉休校、保育園の休園の影響も大きく、家事育児のために就業を控えざるを得ない女性もいる。解雇・雇止め後、女性は再就職の割合が低く、再就職できても非正規労働へ転換など、条件が悪くなっているなどもある。保護者のこともよく知りたいと思う。
生活を激変させたコロナと私たち、という視点も
日常を変えたコロナが憎い、コロナが嫌いという子がいる。コロナに不安を抱える子がいる。そのコロナの発生や拡がりは、私たちの生活、社会がつくり出し、拡げていることを考える。地球温暖化の危機は、私たちの生活が地球環境に大きな負荷をかけ、気候変動などをもたらしている。温暖化によって氷河や凍土が解け、未知のウイルスや菌が出現するなどの指摘もある。
私たちの生活の拡大がコロナなどを生み出し、拡大しているという見方や捉え方を私たち自身が学び、生活のあり方を変えていかなくてはならないのではないかとも思う。
「「地球の限界」概念構築をすすめるj・ロックストロームは、次のように述べている。
「この20年間、動物由来の感染症流行は急激に増加した。
例をあげれば、ジカウイルス感染症、鳥インフルエンザ(H5N1)、豚インフルエンザ(H1N1)、エボラ出血熱、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そしてCOVID―19などで、その前にはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)もあった。
また新興感染症の70%、およびあらゆるパンデミックは動物由来だということもわかっている。COVID―19はおそらくコウモリから別の中間宿主を介してスピルオーバー(異種間伝播)したもので、その原因は自然の生息環境や野生生物の、持続不可能でリスクを伴う開発や搾取にある。グローバル化され、高度に接続された人新世の世界においては、人新世の一つの特徴(人間による自然への持続不可能な圧力)が疫病の流行を引き起こし、それがもう一つの特徴(グローバルな高度の接続性)との相互作用によってウイルスを瞬時に世界中に拡散してしまう。その結果がパンデミックなのだ。」(「2021人類社会の課題」j・ロックストローム、『世界』2021年5月号)