(教室の窓から)「母の日に寄せて」その2

おかあさんの膝
    新川和江

おかあさんの膝には

やさしい陽だまりがある

縁側でひるねをする猫のように

わたしも時折

その陽だまりの中でまぁるくなって

うとうと眠りたい

おかあさんの膝には

たんぽぽの咲く土手と

つくしののびる広い野原がある

いまでもひとりの女の子が

わらべうたを歌いながら

かがんで花を摘んでいる

おかあさんの膝には

老いてうすくなっても

庇護と許容の大きな屋根が用意されている

世界中から爪はじきにされた罪びとでも

そこでは迎えいれられて

あたたかい涙で洗われる

いつでも帰ってゆけるふるさと

誰もが帰ってゆくふるさと

おかあさんの膝

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